• 坂内 徳明

トレーニングの法則・原理・原則

最終更新: 2020年12月11日

鳥取県にある理学療法士が運営するパーソナルジム・健康な体作りの空間

PT Body Lab.」の坂内です!

今回のテーマは「トレーニングの法則・原理・原則」です!

目次
1.ルーの法則
2.トレーニングの3大原理
3.トレーニングの5大原則
 A 侵害受容性疼痛
 B 神経障害性疼痛
 C 心因性疼痛
4.サイズの原理
 A 体性痛
 B 内臓痛
 C 中枢痛
5.筋肥大の法則
6.セット間の休憩における原則
7.運動可動域による原則
8.収縮速度による原則
9.収縮様式による原則
10.トレーニングの頻度における原則
11.筋力増強における原則
12.筋トレの方程式
13.参考文献

1.ルーの法則

生理学における基本法則

現代のスポーツやトレーニングもこの考え方が用いられている。

①活動性肥大の原則

適度な負荷で筋肥大↑、筋力↑


②不活動性萎縮の法則

→筋肉への負荷がなくなると筋萎縮↑、筋力↓


③長期にわたる機能向上制限による器官の特殊な活動能力減退の法則

→長期間にわたって、同じ運動を続けると衰える。


④合目的的構造の機能的自己形成の原理

→人間の能力は負荷に応じて発達、萎縮、損傷する。


身体(筋肉)の機能は適度に使うと発達し、使わなければ萎縮(退化)し、過度に使えば障害を起こすというものである。


2.トレーニングの3大原理

①過負荷の原理

→筋力や持久力を向上させるには日常生活や現在の負荷量よりも高い負荷をかける必要がある。(一定の負荷をかけ続けると人間はその負荷に適応していくため)


②可逆性の原理

→トレーニングで得られた効果は、トレーニングを続けている間は継続されるが、止めると得た効果は徐々に失われる。


③特異性の原理

→トレーニングによって得られた効果はその目的に応じた効果しか出ない。

e.g)サッカーの練習をいくら頑張っても野球はうまくならない。


3.トレーニングの5大原則

①継続性の原則

→トレーニングは長期間継続して取り組むことで筋力や持久力が向上します。正しいフォームで繰り返し行うことで無意識・反射的に体が動かせるようになり、滑らかで効率の良い動きが身につきます。


②漸増性の原則

→トレーニングの効果は強度や量を徐々に高めていくことで効果が得られます。負荷量や回数の急な増加は怪我や障害を引き起こす原因になるため注意が必要です。


③意識性の原則

→ただ指示された内容をおこなっているよりも、目的や効果、運動生理学や力学を理解することでトレーニング効果は高まります。また、自分の弱点や強化すべきポイントを分析することも必要です。


④全面性の原則

→人間の運動能力は筋力、筋持久力、俊敏性、スピード、柔軟性などの様々な要因で構成されています。これら全ての要素にアプローチすることでトレーニング効果を最大限に高めたり、怪我の予防につながります。


⑤個別性の原則

→先天的、後天的な要素を含めて、各個人の年齢、性別、健康状態、運動経験、競技レベル等に合わせてトレーニングを行う必要があります。特にグループレッスンなどでは注意が必要となってきます。


4.サイズの原理

筋肉が収縮して運動する際、小さな運動単位(ニューロン)が先行して動員され、その後、大きさに順じて大きな運動単位(ニューロン)が動員されていく原理。


脊髄から出る運動神経は筋繊維の束を支配していて、その束を「運動単位」と言います。

この運動単位は1本の運動神経が支配する筋繊維の数が十数本の物から数百本の物まであります。これが大きな運動単位と小さな運動単位です。


筋肉の種類別に見ると、速筋繊維(Ⅱ繊維)は運動単位が大きく、遅筋繊維(I繊維)は運動単位が小さい傾向にあります。


このことからも負荷が小さな運動(立位保持も含め)では遅筋繊維が先行して使われており、負荷量が大きくなるに連れて速筋繊維も動員されるということです。


5.筋肥大の法則

マクマスター大学の研究(2002) 

・セット数の変化による筋タンパク合成率の比較

・低負荷で回数を多くした場合の筋タンパク質比較


メタアナリシス(2017)

→筋肥大は総負荷量に比例する。


筋肥大にはトレーニングの総負荷が高い相関関係を示す。


6.セット間の休憩における原則

「1分くらいがよい説」

→そのくらいの休憩時間がGH(成長ホルモン)の分泌量が最も高かった。という研究結果から生まれた説。


しかし、その後、GHと筋肥大に相関関係がないことが明らかになりました。

GHの他にもテストステロンや IGF-1(インスリン様成長因子)も相関見られず。


その後、システマティックレビュー等で高強度のトレーニングと2分以上の休憩時間は総負荷量の増加につながったとの結果があり、運動初心者等の個別性を含めて、現在はおおよそ1分〜2分程度の休憩が良いとされている。


7.運動可動域による原則

フェデラル大学やコペンハーゲン大学のスクワットにおけるパーシャルレンジとフルレンジの総負荷量の研究ではフルレンジの方が高い結果を示した。

このことから筋肥大にはフルレンジが推奨されるとなっている。


しかし、長さー張力曲線から見た筋繊維損傷リスクも考慮しなければならない。

フルレンジトレーニングは筋繊維の回復に時間がかかることを考慮する必要性がある。


初心者の人や怪我が怖い方は必ずパーシャルレンジで!


8.収縮速度による原則

NY市立大学の行ったメタアナリシスでは収縮速度を3つのグループに分けて結論づけされています。

・速い収縮:0.5s〜4s

・中等速の収縮:4s〜8s

・遅い収縮:8s以上

この研究結果から以下の2つがわかったとされています。

①筋肥大において8秒以内の収縮速度であれば効果に大きな差は生じない。

②筋肥大の効果は8秒以上の収縮で低下する可能性がある。


この研究結果と、前項の「サイズの原理」からもわかる様に、速筋群(白筋)の関与に応じて筋肥大に影響を及ぼすことが推測されます。


よっぽど遅筋繊維のみにアプローチしたい場合をのぞいては8秒以内の収縮が望ましい。

筋肥大においてはスロートレーニングよりファストトレーニングの方が推奨される。


9.収縮様式による原則

一般的に求心性収縮より遠心性収縮を意識する方法が一般的で、「戻すときはゆっくり」というのはもう決まり台詞だと思います。

遠心性収縮の際にはチチンの受動的緊張が生じて、その抵抗性が生まれると言われています。

遠心性収縮時は求心性収縮の約1.2〜1.5倍の耐負荷があるとの研究もあります。


NY市立大学の行ったメタアナリシスでは求心性収縮と遠心性収縮共に品肥大における効果は検証されていますが、その研究内で「双方の筋肥大効果は遠心性収縮がやや高い程度であった。」とされています。


結論として収縮様式はトレーニングを考える上で意識はした方が良いが、他の要素(回数・セット数・可動域・休憩など)に比べると優先度は低いと考えられる。


リハビリテーション等での機能回復を目的としたアプローチでは例外となります。


10.トレーニングの頻度における原則

多くの研究結果から、トレーニング頻度が週に5〜6回の高頻度、1〜2回の低頻度どちらであっても週の総負荷量に応じて筋肥大が行われることが明らかになっています。

e.g)ベンチプレス

A:20Kg✖️10回✖️3セットを週に4回=20✖️10✖️3✖️4=2400

B:40Kg✖️10回✖️3セットを週に2回=40✖️10✖️3✖️2=2400

A・B共に筋肥大の効果はほとんど変わらないとの報告がある。


トレーニングの頻度は個人のスケジュールや疲労感に左右されるため、総負荷量で設定するのが望ましい。もちろん1日の負荷量が増加するため怪我に注意が必要。


トレーニング初心者の方へわかりやすい基準として、おおよそ3日に1回のペースでのトレーニングが良いとされている。(鍛える部位や負荷量によって変動あり。)


11.筋力(筋出力)増強における原則

A 運動スピード

シドニー大学が行ったメタアナリシスによると、「年齢や運動経験に左右されず、収縮速度を6秒以内にすると最大化される」と結論づけられました。

筋肥大=8秒以内

筋力増強=6秒以内

このことからも目的が単純な場合のトレーニングにおいて、6秒以内の筋収縮が望ましいことがわかります。

もちろん筋力増強には筋肥大の要素が大きく関与してきます。他にも神経筋活動の影響を考慮して考える必要があります。


B 運動頻度

ヴィクトリア大学が行ったメタアナリシスにおいて、「他関節筋のトレーニングは頻度が多いほど筋力が向上する」との結果を示した。

年齢においては若年層ほど週の運動頻度が上昇するにつれて、神経筋活動が正に生じやすく、女性の方が週の運動頻度に応じて筋力増強が起こりやすいとの結果も出された。


12.筋トレの方程式

「化学的に正しい筋トレ」の著者である理学療法士の庵野拓将さんの考えた方程式です。

筋肥大の効果

=総負荷量(重量✖️回数✖️セット数)✖️セット間の休憩時間✖️可動域✖️収縮様式✖️頻度


筋力増強の効果

=トレーニング強度✖️運動速度✖️頻度


是非とも参考にしたいおすすめの方程式です!


参考文献

中村 隆一, 他:基礎運動学 第6版, 医師薬出版株式会社,2015年.

千住 秀明, 他:運動療法Ⅰ 第2版, 株式会社 九州神陵文庫,2014年.

江原 義弘・山本 澄子・中川 昭夫, 他:PT・OT・ST身体運動学の理解につなげる物理学, 株式会社 南江堂,2015年.

D.A.Neumann(嶋田 智明):カラー版 筋骨格系のキネシオロジー 原著第2版,医師薬出版株式会社, 2015年.

庵野 拓将:科学的に正しい筋トレ 最強の教科書,株式会社KADOKAWA,2019年

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