• 坂内 徳明

筋肉の基礎理解

最終更新: 2020年9月14日

鳥取県にある理学療法士が運営するパーソナルジム・健康な体作りの空間

PT Body Lab.」の坂内です!

今回は「筋肉」です!

目次
.筋肉とは
.筋肉の種類 
 A 骨格筋
 B 心筋
 C 内臓筋
.骨格筋の構成要素と補助組織 
.骨格筋の形状分類
.骨格筋の構造 
.骨格筋の膜構造 
.骨格筋の筋繊維の分類
 A タイプI筋繊維
 B タイプIIa筋繊維
 C タイプIIb筋繊維
.筋原繊維の構造
.骨格筋の収縮メカニズム
10.フィラメントの相互作用
11.発生張力と静止張力
12.滑走説とゆるぎ説
13.筋繊維の感覚受容器
14.筋細胞の合成と分解
15.ミオカインと骨格筋
1.筋肉とは

筋肉は、体表から直接触れることのできない組織です。


皮膚と骨の間に存在し、多くの筋肉は自分の意思で動かすことができます。


人体には約600を超える筋肉が存在しています。


2.筋肉の種類

筋肉は大きく分けて3つの種類に分類されます。


A 骨格筋

B 心筋

C 内臓筋(平滑筋)

A 骨格筋

人体で最も多い種類の筋肉です。


顕微鏡で見ると、しま模様(横紋)が観察できるため組織学上、横紋筋と呼ばれます。多核の細胞からできています。


また、意識的に収縮させることのできる随意筋に分類されます。



B 心筋

名前の通り心臓を構成している筋肉で心臓の大部分を占めます。


組織学上は骨格筋と同じ横紋筋ですが、単核の細胞からできています。


心筋は人の意思では収縮することができない不随意筋に分類されます。



C 内臓筋

消化器、泌尿器、生殖器などを身体の様々な器官を作る筋肉です。


組織学上、横紋が見られないため平滑筋と呼ばれ分類されおり、単核の細胞でできています。


心筋同様、自分の意思では収縮できない不随意筋に分類されます。


3.骨格筋の構成要素と補助組織

 多くの骨格筋は関節を介して2つの骨に付着している。


骨に付着している部分を「起始」「停止」といい、という結合組織から構成されます。

※運動学上の認識が鈍る懸念から、「遠位付着部/近位付着部」と言う場合もある。


起始:固定されている側、もしくは動きが小さい側の付着部

停止:動きの大きい側の付着部


また、起始の付着部を筋頭、停止側の付着部を筋尾、筋肉の中間地点を筋腹と言います。

骨格筋には機能が発揮されやすいように様々な補助組織が存在します。

  • 筋膜:筋肉を包む結合組織。骨格筋の円滑な収縮、保護に関与。

  • 滑車:腱を支える骨の隆起や靭帯。腱の向かう方向を変化させる。

  • 筋支帯:強靭な結合組織。腱が浮き上がってくるのを防ぐ。

  • 腱鞘:腱を取り囲む筒状の滑液を含んだ鞘。摩擦などを軽減する。

4.骨格筋の形状分類
  • 紡錘状筋:多くの筋はこれにあたる。筋肉の典型的な形。

  • 多頭筋:筋腹が2つ以上に分かれる。e.g)上腕二頭筋、上腕三頭筋

  • 多腹筋:筋腹が中間腱によって2つ以上連結する。e.g)顎二腹筋

  • 半羽状筋:腱の片側に筋繊維が斜走する。e.g)半腱様筋

  • 羽状筋:筋の中央に腱が走る。その両側を筋繊維が斜走する。e.g)大腿直筋

  • 収束筋:広い起始を持ち、停止部で一つにまとまり収束する。e.g)大胸筋

  • 鋸筋:起始または停止部がノコギリ型をしている。e.g)前鋸筋

  • 輪状筋:筋繊維が円状に走行する。円を閉じる作用がある。e.g)口輪筋

紡錘状筋は筋繊維と腱が同じ走行のため収縮効率が良く、素早い収縮が可能です。

また、羽状筋は筋繊維の数が多いので筋出力が強いという性質があります。


5.骨格筋の構造

骨格筋の単位:筋繊維の束+膜を一つの単位として扱います。

この単位が階層を形成して筋肉は成り立ちます。


筋原繊維:アクチン+ミオチン

筋繊維(筋細胞):筋原繊維が数百〜数千本集まった組織。筋細胞膜(筋鞘)に包まれる。

筋繊維束:筋繊維が数十本集まったもの。筋周膜に包まれる。血管に栄養される。

筋肉:筋繊維束が数本〜数十本集まったもの。筋上膜に包まれる。

※一般的に言う「筋膜」は解剖学状は「筋上膜」のことを指します。


筋原繊維の集合体を包む筋鞘は興奮性がある。

また、筋原繊維の周囲には筋小胞体が発達しており、ミトコンドリアも存在する。


6.骨格筋の膜構造

骨格筋の膜構造は定義付けによって多少違いはありますが、6つ(6層)存在します。

内側(深部から順に解説します)


筋形質膜:筋原繊維(ミオシン・アクチン)を包む膜

筋内膜:筋繊維(筋原繊維の集合体)を包む膜

筋周膜:筋繊維束(筋繊維の集合体)を包む膜

筋外膜(筋上膜):骨格筋(筋繊維束の集合体)を包む膜

深筋膜(腱膜筋膜):筋外膜(筋上膜)とその周辺の結合組織が結合した筋膜

浅筋膜:皮下組織に存在する筋膜


7.骨格筋の筋繊維の分類

魚に白身と赤身が存在する様に、人間にも同様の構造が存在します。

骨格筋は組織学・生化学的な要素で筋繊維の種類が異なります。

筋繊維は性質によって3種類に分類されます。


A タイプⅠ筋繊維(赤筋)

遅筋と呼ばれ持久力に優れている。力学的には小さな力だが疲労しにくい特徴を持つ。

ATPを供給する方法は、酸素を使用して好気代謝(酸化的リン酸化)で行われる。(解糖系で分解した物質を代謝する。)


B タイプⅡa筋繊維(ピンク筋)

中間筋と呼ばれ持久性・瞬発性を平均的に持つ。

ATPを供給する方法は、好機代謝/嫌気代謝の両方の作用を持っています。


C タイプⅡb筋繊維(白筋)

速筋と呼ばれ瞬発性に優れている。力学的に大きな力を持ち、疲労しやすい。

ATPを供給する方法は、糖質を使用する嫌気代謝(解糖系)で行われる。


タイプⅠとタイプⅡの割合は部位、遺伝、人種などによって変化します。

筋肉はどちらの繊維も混ざって構成されており、その割合も変化します。

タイプⅡaとⅡbは環境や運動によって随時変化していると言われている。


8.筋原繊維の構造

先ほど記載した様に、筋原繊維は筋肉の最小単位です。


筋原繊維は2種類のフィラメントから構成されます。

フィラメント・・・細い糸状の構造

細いフィラメントを「アクチンフィラメント

太いフィラメントを「ミオシンフィラメント」と呼びます。


筋原繊維の長軸に対してこのアクチンとミオシンが交互に配列することで

「横紋構造」が形成され、横紋筋と呼ばれる要因になっています。


アクチンフィラメント:タンパク質の一種。アクチントロポニントロポミオシンで構成される。

ミオシンフィラメント:タンパク質の一種。頭部と尾部で構成される。ミオシンが重なり合い、6方向へ枝分かれする構造をとる。


アクトミオシンアクチンとミオシンの複合体ATPとの相互作用で筋が収縮する


筋節(サルコメア):筋収縮の最小単位Z線からZ線までの間を指す。


I帯:横紋構造の明るい部分。アクチンのみで構成される。

  Z線:I帯の中央。アクチンを束ねる。


A帯横紋構造の暗い部分。アクチンとミオシンが重なる。

  H帯:A帯の中央。ミオシンのみで構成される。

  M線:H帯の中央。ミオシンを束ねる。

9.骨格筋の収縮メカニズム

活動電位の発生

運動終末から放出されたアセチルコリンが筋細胞膜に作用し、活動電位が発生する。


Ca2+の放出

活動電位がT管に伝わり、筋小胞体のリアノジン受容体が刺激され、Ca2+が筋形質内に放出される。


滑走

Ca2+がアクチンフィラメントに結合すると、ミオシンフィラメントとの間で滑り込みが発生し、筋節の短縮(筋収縮)が起こる。


筋小胞体・・・筋細胞質内に存在するカルシウムの貯蔵庫。
T(横行小管)・・・筋小胞体の間に存在し、筋繊維の長軸と垂直に存在する管。中は細胞外液で満たされ、筋細胞で発生した活動電位を細胞内に伝える機能を持つ。T管にはジヒドロビリジン受容体というカルシウムチャンネルが高密度に存在している。
リアノジン受容体・・・T管と連結する動物の横紋筋にあるカルシウムチャンネル。この受容体にリアノジンが結合することで、筋小胞体のCa2+が放出され、持続的な筋収縮を起こす。

10.フィラメントの相互作用

フィラメント同士が滑り込む際に、Ca2+とトロポニンとの結合によってできたトロポミオシンの位置変化、ATP分解によって発生したエネルギーによるミオシン頭部の屈曲などが起こっている言われる。


11.発生張力と静止張力

アクチンとミオシンの滑走によって生まれた力を発生張力または活動張力といいます。

逆に、骨格筋が伸ばされた際に元に戻ろうとする性質によって発生する力を静止張力と言います。

活動張力と静止張力を合わせた力を全張力と言います。


全張力=発生張力+静止張力


12.滑走説とゆらぎ説

筋収縮のメカニズムは現在に至るまで不明確な部分が存在する。

しかし、現在2つの説が有力とされているため紹介する。


A 「滑走説」

ミオシンフィラメントとアクチンフィラメントとが結合し、引き寄せることで筋収縮が発生するというメカニズム。


B 「ゆらぎ説」

ミオシンフィラメントは収縮方向のみならず、逆方法への移動を観察したことから、ミオシンフィラメントが行ったり来たりする結果として一方方向に移動していくというメカニズム。


13.筋繊維の感覚受容器

A 筋紡錘

骨格筋の長さの変化とその速度を感知する器官。

筋周膜に多く分布する。

筋紡錘の中には2種類の錐内筋繊維が存在します。


錐内筋繊維は核鎖繊維核袋繊維に分かれます。

核鎖繊維は細胞核が鎖状に並ぶ構造をとり

核袋繊維は細胞核が中央に集まっている構造をとります。


筋紡錘には2種類の感覚神経が存在する。

Ia繊維は両方に存在し、錐内筋繊維の長さと速度を感知している。

Ⅱ繊維は主に核鎖繊維の神経筋接合部に存在し、筋の長さを感知する。


筋紡錘の運動繊維はγ運動繊維が担います。

γ運動繊維は筋の長さが変化しても常に錐内筋繊維が張力を保てるように調整しています。


B 腱紡錘(ゴルジ腱器官)

腱組織が束になっており、中にⅠb繊維という感覚神経が通る。

腱紡錘は筋肉の張力を感知している。


C 自由神経終末

筋繊維と筋繊維の間に存在する。

筋肉が損傷した際にポリモーダル受容器を先端に持つ自由神経終末。

ポリモーダル受容器・・・すべての刺激に反応する痛みの受容器。形態的に特殊な構造を持たないため自由神経終末として全身に存在する。

D パチニ小体

筋繊維と筋繊維の間に存在する。

主に圧覚を伝達する。


14.筋細胞の合成と分解

COMING SOON!

15.ミオカインと骨格筋

A ミオカインとは

筋収縮によって筋肉から放出されるサイトカインです。

筋肉内には300種類を超えるミオカインがあるとされていて、その中でも最初に発見されたILー6(interleukin-6)はミオカインの代表とも言える存在です。

ほとんどのミオカインは骨格筋以外でも生成されていて、作用も重複するものがあります。


B ミオカインの役割

ミオカインの役割は多様で、代表的な作用としては代謝調整・抗炎症作用・損傷再生時の骨格筋の調整などが挙げられます。


C IL-6

IL-6 は最初にミオカインとして発見されたサイトカインです。

以前までは、IL-6 の骨格筋からの分泌量が筋グリコーゲン量低下時に高く、肝臓からのブドウ糖の放出量が増加することから、運動継続に伴い骨格筋で不足するブドウ糖の供給を促すために IL-6 が分泌されていると考えられていました。

しかし、ある実験では筋繊維に電気刺激を行わない状態と比べて電気刺激下では IL-6 の mRNAおよびIL-6 が 5 倍以上増加することが報告されています。

mRNA・・・メッセンジャーRNA、または伝令RNAと呼ばれ、タンパク質合成の際に遺伝子情報をコピーして伝達する能力を持っている。

また、ブドウ糖濃度を増加させるとIL-6 の分泌は抑制されたが,細胞内グリコーゲンの量との関連はみられませんでした。

インシュリンを加えた場合では、糖の取り込みが増加し細胞内グリコーゲンも増加しましたが、IL-6 が減少することはありませんでした。このことから、IL-6 は糖代謝には関連するが、その調節は必ずしもグリコー ゲンに依存するものではなかったと報告されました。


その後の研究では、IL-6 は脂肪組織および肝臓に作用し、脂肪の利用を促進すること、骨格筋のPGC1αを活性化するミオカインであるイリシンとともに筋肉内脂肪の利用を促進することが明らかになっています。

PGC1α・・・遺伝子の転写を制御する物質。ミトコンドリアの合成を促進したり、糖輸送体(GLUT4)を増加させる機能が示されれている。

参考文献

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岡庭 豊, 他:病気が見えるvol.11 運動器・整形外科 第1版, 株式会社 メディックスメディア,2017年.

奈良 勲,他:標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野 解剖学,株式会社 医学書院, 2015年.

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Joseph E.Muscolino(日高 正巳):Dr.マスコリーノ Know the Body 筋・骨格の理解と触診のすべて,医師薬出版株式会社,2014年.

D.A.Neumann(嶋田 智明):カラー版 筋骨格系のキネシオロジー 原著第2版,医師薬出版株式会社,2015年.

栗原 毅:ゼロからわかる疾患別検査値の読みこなし,成美堂出版,2016年.

柳澤 健:理学療法学 ゴールドマスターテキスト3 整形外科学, 株式会社 メジカルビュー社,2009年.



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