• 坂内 徳明

肝臓の基礎理解

最終更新: 2020年12月11日

鳥取県にある理学療法士が運営するパーソナルジム・健康な体作りの空間

PT Body Lab.」の坂内です!

今回のテーマは「肝臓」です!

目次
.肝臓の基本情報
.肝小葉
 A 構造
 B 類同
 C 伊藤細胞
.肝臓と血管
 A 流入血管
 B 流出血管
 C 栄養血管と機能血管
.肝臓の区域区分
.門脈
.肝臓の役割
.解毒機能.肝臓と代謝

1.肝臓の基本情報

・右上腹部に存在する臓器

・成人の肝臓は約1〜1.5Kgほどの重さがある

・大部分が臓側腹膜に覆われていて、上部は横隔膜に接している


2.肝小葉

A 構造

肝小葉とは肝臓における最小単位です。

六角形の形状を形成していて、直径は1〜2mmほどです。

六角形の角にはグリソン鞘という結合組織が存在しています。

このグリソン鞘には小葉間動脈・小葉間静脈・小葉間胆管・リンパ管が通っています。

小葉間動脈・小葉間静脈・小葉間胆管は「門脈三つ組」と呼ばれています。


肝小葉内では血液は外側から中心へ、胆汁は中心から外側へ流れています。


肝小葉の中心には中心静脈が通っています。

その周りを取り囲むように肝細胞が敷き詰められている構造です。

B 類同

類同は幹細胞の間を走る毛細血管です。

この類同によって血液と肝細胞の間で物質交換が行われています。

類同にはKupffer細胞というマクロファージが常在しており、主に門脈から流入する遺物を除去する役割を果たしています。


C 伊藤細胞

伊藤細胞は類同の外側に接していて、主にビタミンAの貯蔵に関与して、肝障害時にコラーゲンを産生しています。

3.肝臓と血管  

A 流入血管

肝臓へ流入する血管は肝動脈・門脈の2種類です。

この2つの血管はほとんど同じ走行をたどります。

肝動脈の経路は

腹部大動脈→腹腔動脈→総肝動脈→固有肝動脈→右肝動脈・左肝動脈・胆嚢動脈

と分枝していきます。


B 流出血管

肝臓から流出する血管は肝静脈があります。

肝静脈は右肝静脈・中肝静脈・左肝静脈に分かれています。

この3種類の肝静脈はそれぞれ下大静脈に流出していきます。


C 栄養血管と機能血管

流入血管の肝動脈と門脈にはそれぞれ役割があります。

流入する全体量のうち、約70%は門脈血の流入、約30%は肝動脈血の流入となります。


肝動脈は肝臓の栄養血管で主に酸素を含んだ血液を肝臓へ運びます。


門脈は肝臓の機能血管で主に消化管から吸収した栄養素を肝臓へ運びます。


4.肝臓の区域区分

A 解剖学的葉区分

肝臓の中心付近を通る、肝鎌状間膜で分ける。


B 機能的葉区分

カントリー線で右葉と左葉に分ける。


C Couinaud分類

最もよく使われる区分で、門脈の分枝を元にS1〜S8まで区分される。

5.門脈

門脈は脾臓・膵臓・胃・十二指腸・小腸・大腸・食道など様々な消化器官から静脈の流入を受けます。

A 流入経路


6.肝臓の機能

A 代謝

糖・脂質・タンパク質・ビタミンなどの物質を分解・合成・貯蔵しています。

詳しくは「8.肝臓と代謝」で!!


B 解毒

肝臓は有毒な物質の分解や排泄を行う。

詳しくは「7.解毒作用」で!!


C 免疫

「2.肝小葉」でも解説した、Kupffer細胞が門脈血中に流入してきた腸管の異物や有害物質を貪食・消化・除去する。

また、肝臓では老化赤血球の貪食も行っています。

赤血球の老化・・・赤血球は酸化ストレスにより徐々に老化し、寿命は120日と言われています。

D 胆汁の生成

脂肪の代謝に関与する胆汁酸を生成して、不要物とともに胆汁として排出する。


7.解毒機能

タンパク質(アミノ酸)の代謝の過程で発生するアンモニアや薬物・毒物は肝臓で解毒されて胆汁や尿に混ざって排出されます。


A アンモニア代謝

アミノ酸が分解される際にアミノ基を除去する脱アミノという反応が起こります。

この脱アミノの副産物としてアンモニアが生成されます。

アミノ酸は肝臓内で尿素回路(オルニチン回路)に入って尿素に変換されます。(有害物質→無害物質への変換)


肝臓内に異常にアンモニア蓄積が起こると肝性脳症などを引き起こす原因にもなります。


B 薬物代謝

肝臓での薬物代謝は大きく2段階に分かれています。

段階を経るにつれて、薬物の水溶性が高まり、排泄されやすくなってきます。


肝臓に入った薬物は最初にチクノーム450という酵素によって酸化されて薬理作用が停止します。

次にグルクロン酸や硫酸グルタチオンバドによって抱合を受ける。

これにより水溶性が高まり、胆汁もしくは尿と一緒に排出される。

8.肝臓と代謝

肝臓は全身の臓器の中でも代謝の中心的な役割を担っています。


A 糖代謝

B タンパク質代謝

C 脂質代謝

D ビタミン代謝

E ビリルビン代謝

F ホルモン代謝

ビリルビンと黄疸

A ビリルビンとは

ビリルビンとは赤血球の中のヘモグロビンを構成する「ヘム」が分解された際にできる代謝物です。

ビリルビンは肝臓で処理・分解されて、胆汁を介して十二指腸に排出されたり、尿から排出されたりします。

また、ビリルビンは光に晒されることによって光学異性化反応という反応が生じてビリルビンの化学構造が変化して排出されやすくなります。(ビリルビン値が下がる。)

特に新生児は肝臓の機能が未発達で余分なビリルビンを処理できなくなり、脂肪組織にビリルビンが蓄積されてしまうため皮膚が黄色く変色する現象が見られます。

これを生理的黄疸と言います。


ビリルビンは大きく分けて以下の3種類に分類されます。

①直接ビリルビン

②間接ビリルビン

③総ビリルビン


血液と肝臓

A ASTとALTとLDH

トランスアミナーゼはアミノ酸の合成を促す酵素です。

アスパラギン酸アミノ基転移酵素(aspartate aminotransferase:AST)とアラニンアミノ基転移酵素(alanine aminotransferase:ALT)の2種類に分けられます。

ASTは肝細胞だけではなく心臓・骨格筋・腎臓などに分布しており、肝細胞全体に均一に分布しています。

ALTは主に肝細胞に分布していて、特に門脈(門脈三つ組)付近に多く分布しています。


これらのトランスアミナーゼは肝細胞が障害を受けると血中へと逸脱してしまいます。

このように通常は細胞内で働く酵素が血液中に流れ出してしまう現象を逸脱酵素と言います。


乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase:LDH)も逸脱酵素として肝細胞から流出します。

LDHは全身のほぼ全ての臓器に分布していて、糖代謝の際に働きます。

なので、LDH異常値=肝細胞の障害とは断定できないということも覚えておく必要があります。


参考文献

名前,他:タイトル,

作者,et al,(翻訳者,他/訳):タイトル,雑誌名,号数・巻数,ページ1-9,年月日

URL

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岡庭 豊, 他:病気が見えるvol.1 消化器 第5版, 株式会社 メディックスメディア,2017年.

細田 多穂,他:内部障害理学療法テキスト, 株式会社 南江堂,2015年.

奈良 勲,他:標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野 解剖学,株式会社 医学書院,2015年.

辰巳 敬, 他:新編 化学基礎,数研出版株式会社,2015年.

奈良 勲,他:標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野 内科学,株式会社 医学書院,2014年.

栗原 毅:ゼロからわかる疾患別検査値の読みこなし,成美堂出版,2016年.

柳澤 健:理学療法学 ゴールドマスターテキスト6 内部障害系理学療法学, 株式会社 メジカルビュー社,2014年.

奈良 勲・鎌倉 矩子,他:標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野 病理学,株式会社 医学書院,2014年.

満尾 正:食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術,アチーブメント出版株式会社, 2020年.

牧田 善二:医師が教える食事術 最強の教科書 20万人診てわかった医学的に正しい食べ方68,ダイヤモンド社, 2018年.

牧田 善二:医師が教える食事術 実践バイブル2 20万人診てわかった医学的に正しい食べ方70,ダイヤモンド社, 2019年.

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